私たちは近江ちゃんぽんの普及活動を通じて、全国各地で愛される「ご当地ちゃんぽん」に出会いました。連載第11回目では、大分県日田市に根付く「日田ちゃんぽん」の世界をお伝えします。

日田ちゃんぽんの歴史
「ちゃんぽんといえば白濁とした豚骨スープ」というイメージをガラっと変えてくれるのが、大分県日田市で生まれた「日田ちゃんぽん」です。日田は江戸時代には天領(幕府の直轄地)であり、九州屈指の交通の要衝として栄えてきました。多様な文化が交差する地であったことが、日田にご当地ちゃんぽんが生まれた理由のひとつと考えられます。日田ちゃんぽんの味は、日田市で昭和五年に創業した「寶屋」のオーナーが、戦後間もなくしてちゃんぽんの作り方を伝え聞き、独自に開発したものです。茹でた麺に大分県佐伯産のいりこで取ったスープを注ぎ、シャキシャキに炒めた野菜をのせ、秘伝のタレで味を決め、この土地ならではの味が完成しました。
日田ちゃんぽんの特徴
日田ちゃんぽんの最大の特徴は、しょうゆ味のあっさりとしたスープです。うどんに使用しているだしをベースにしている店もあり、「和」のテイストを感じることができます。豚骨スープに比べてやさしい味わいで、ごくごく飲めるスープが魅力です。スープは、大分県佐伯産のいりこを寸胴に入れ、水郷日田市ならではの地下水(伏流水)で取った出汁に地元の醤油ベースの特製タレを合わせています。これにより、あっさりとしているのにしっかりとした旨味を感じる味わいが生まれています。具材も特徴的で、豚肉、イカ、竹輪、ピンクカマボコ、魚の天ぷら、キャベツ、モヤシ、ニンジン、ネギなど多岐にわたります。それぞれの具材はしっかりと味付けされており、全体的な一体感があります。
日田ちゃんぽんが食べられるお店
日田ちゃんぽんは、「寶屋」さんの他、日田市内の飲食店で提供されています。地元の人々に愛されており、そのあっさりとした醤油ベースのスープとたっぷりの具材が魅力です。日田の自然豊かな環境と共に味わうちゃんぽんは、訪れる人々にも特別な体験を提供します。
日田ちゃんぽんが食べられるお店は、「食べログ」のサイトでご確認ください。
https://tabelog.com/oita/A4404/A440403/rstLst/RC012405/
次回の連載では、さらに異なるご当地ちゃんぽんに焦点を当て、その歴史や地域性について詳しくご紹介します。お楽しみに!