はじめて近江ちゃんぽんを召し上がる方からは、長崎ちゃんぽんとは全然違うと戸惑いの声をいただくこともあります。ここでは、長崎ちゃんぽんとの違いについて、その誕生背景から紐解きながら、近江ちゃんぽんの魅力について迫ります。
長崎ちゃんぽんは、四海楼という中華料理店の店主が、中国人留学生に安くて栄養があるものを食べさせようと、中華鍋でボリュームたっぷりの具を炒め、そこに濃いめのスープで煮こんだ料理を作ったのがはじまりとされています。そこから長崎市内の中華料理店に広まり、全国へと拡散されました。
長崎ちゃんぽんの麺はちゃんぽん麺を使用します。小麦粉に唐灰汁というアルカリ性の添加物を加え練り上げた生地を、丸刃で切ったもちもち食感が特徴です。スープは鶏ガラ豚骨で白濁としており、具には豚肉と野菜の他に、海老や烏賊などの海鮮が加わるのが一般的で、港町長崎の特徴が色濃く表れています。
一方で、近江ちゃんぽんの誕生は、当社がちゃんぽん亭の1号店を開業する前に経営していた「麺類をかべ」にまで遡ります。当時の店主が、近隣で働くビジネスマンに健康的でボリュームたっぷりのちゃんぽんを食べてもらいたいと、うどんのだしをアレンジした醤油スープに、野菜や豚肉などの具をたっぷり入れて、手鍋で煮込んだのが最初だと言われています。
今も当時と変わらず、近江ちゃんぽんの麺は、小麦粉にかん水を加え練り上げた生地を角刃で切った中華麺を使用しており、スープはおだしの効いた黄金色のスープ。具は豚肉とたっぷりの野菜。近江ちゃんぽんは、発祥地彦根の土地柄を反映した特徴をもった地元色豊かな商品なのです。
このようにして、近江ちゃんぽんは独自の進化を遂げ、「具だくさんの麺料理」という共通点を除き、他に類を見ない特別な一品になりました。