誕生物語

「お客様をおいしく健康的な一杯で満たしたい」という想いから近江ちゃんぽんは生まれました。近江ちゃんぽんの誕生物語を通じて、近江ちゃんぽんの持つ特徴についてご紹介します。

長崎ちゃんぽんだけがちゃんぽんにあらず

ちゃんぽんと言えば、長崎ちゃんぽん。皆さんはそう思っていませんか?しかし実は、日本各地には長崎ちゃんぽんをルーツにしながらも、独自の進化を遂げた「ご当地ちゃんぽん」が数多く存在します。「近江ちゃんぽん」もその中のひとつです。近江ちゃんぽんは当店で半世紀以上前に誕生して以来、彦根を中心に滋賀県全域に定着し、「滋賀県民のソウルフード」と呼ばれるほどの存在感を放っています。

ちゃんぽんのルーツ

ちゃんぽんのルーツは古く、明治32年長崎創業の中華料理店「四海楼」で誕生しました。中国からの留学生達のために、福建料理の「湯肉絲麺」を日本流にアレンジして、中華鍋で具材を炒め豚骨と鶏ガラでとったスープと麺を一緒に入れて煮込んだ麺を店主の陳さんが作ったことが始まりとされています。

その後、その麺は「長崎ちゃんぽん」と名付けられ、長崎市内の中華料理店を経由して全国に広まりました。このような流れから、今でも全国的にはちゃんぽん=長崎ちゃんぽんとして認識されており、また中華料理店の麺メニューのひとつとして置かれることが多い理由でもあります。

全国のご当地ちゃんぽん

しかし、実は日本各地には長崎ちゃんぽんをルーツにしながらも、独自の進化を遂げたご当地ちゃんぽんが数多く存在します。代表的なものとして、長崎県雲仙市小浜町には「小浜ちゃんぽん」と呼ばれるご当地ちゃんぽんがあり、特徴は小浜町の近海でとれたキジエビを殻付きのまま入れる点です。小浜町内の多くの飲食店で提供しており、寿司屋や居酒屋でも食べることができます。また、熊本県天草市では大きな海老の乗った「天草ちゃんぽん」が有名です。その他にも、水俣ちゃんぽん、武雄ちゃんぽん、唐津上場ちゃんぽん、八幡浜ちゃんぽんなど、全国にご当地ちゃんぽんは15種類以上あると言われています。

近江ちゃんぽん誕生秘話

近江ちゃんぽんも彦根で独自に進化したご当地ちゃんぽんのひとつです。近江ちゃんぽんは当店の前身である「麺類をかべ」で誕生しました。当時の麺類をかべはうどん・そばを主体とする麺類食堂で、彦根という土地柄、だし汁は削り節と昆布からとった「京風だし」でした。あるとき、お客様へ「おいしく健康的な一杯を届けたい」との想いで、京風だしをアレンジしたスープに、野菜や豚肉などの具をたっぷり入れて手鍋を使って煮込み、中華麺と一緒に盛り付けてお客様へ提供したところ、「これは旨い!」と評判になりました。そしてたちまち看板商品になったのです。

近江ちゃんぽんの特徴

さまざまなご当地ちゃんぽんの中でも、特に異彩を放つのが他でもなく当店の近江ちゃんぽんと言えます。なぜならば、ほとんどのご当地ちゃんぽんはルーツである長崎ちゃんぽんとの共通項を持っていますが、近江ちゃんぽんだけはほとんど共通項がないからです。

スープは白濁したとんこつでも鶏ガラではなく、京風だしをアレンジした和風醤油味です。は海老や烏賊など定番の海鮮は一切入らず、豚肉と野菜だけです。は唐灰汁を使ったちゃんぽん麺ではなく、かんすいを使った中華麺を使います。調理方法も中華鍋で炒めるのではなく手鍋で煮込みます。あえて唯一の共通点を挙げると「具がたくさん乗った麺料理」という点です。

近江ちゃんぽんがこのような特徴を持つことになったのは、それが麺類をかべで生まれたからに他なりません。長崎ちゃんぽんは中華料理店で生まれた中華料理のひとつです。しかし、近江ちゃんぽんは麺類食堂で生まれた和食のひとつなのです。